未央子が視線が、流れた先の一点で止まった。 それと同時に、思考までも止まる。 何が起きているのか、まるでわからない。 無色で無音の空間だった。 ひとつ、瞬きをした。 その瞬間、呼吸を忘れていた口が息を吸い込む。 それと同時に、体中の血管がその存在を主張するように、どくどくと脈打ち始めた。 色が戻ってくる。 音が戻ってくる。 しかし聞こえるのは、自分のうるさい心臓の音と、荒い息遣いだけだ。 いったい何が起こっている? 未央子はようやく、自問した。