親愛なる母へ




未央子が視線が、流れた先の一点で止まった。

それと同時に、思考までも止まる。

何が起きているのか、まるでわからない。

無色で無音の空間だった。

ひとつ、瞬きをした。

その瞬間、呼吸を忘れていた口が息を吸い込む。

それと同時に、体中の血管がその存在を主張するように、どくどくと脈打ち始めた。

色が戻ってくる。

音が戻ってくる。

しかし聞こえるのは、自分のうるさい心臓の音と、荒い息遣いだけだ。



いったい何が起こっている?



未央子はようやく、自問した。