親愛なる母へ




しかしその時、扉の横にインターホンが取り付けられていることに気付いた。

押すべきか迷うが、誰かが正しい場所を教えてくれるかもしれない。

息を一吐きして、そのボタンを押した。

中で電子音が鳴るのが聞こえる。

やがてパタパタと地面を蹴るような音が聞こえたかと思うと、看護師の女性が姿を見せた。

中から鍵を開けると、言う。


「お見舞いですか?」


しかし“お見舞い”と聞いて、瞬時には状況がつかめない。