親愛なる母へ




未央子の手を握った亮の手に、力が込められる。

それに未央子は一瞬ひるんだ。

亮は未央子を元の椅子に座らせ、頭を撫でる。


「会計してくるから。待ってて」


そう言って、伝票を掴んでレジへ向かう。

本当なら、この隙に店から飛び出してしまいたかった。

しかし亮の温もりが、未央子をそこに留める。

不思議な気持ちだった。

亮に触れられると、胸が高鳴る一方で、妙な安心感を得られる。

会計を済ませて戻って来た亮は、未央子の手を取って歩き出す。

半歩下がったところから、亮を見つめた。

こんな風に手を引かれたかったことに、未央子は今になって、ようやく気付いた。