親愛なる母へ




亮は目を伏せる。

それが、答えなのだと思った。


「もういいよ!あたし一人で行くから!」


未央子はテーブルに手をついて、立ち上がる。

周囲の視線が未央子に向かうが、そんなこと気にしていられなかった。


「未央子」


亮が未央子の手を掴む。

大きな手の温もりが、むしろ腹立たしかった。


「放して!」


本当は、わかっていた。

それは亮の優しさなのだと。

亮は、未央子が傷付くかもしれないことを、心配しているだけなのだ。

それでも、未央子は背中を押してほしかった。

それを伝えもせずに、期待していただけだ。