大股で歩くその後ろ姿に、声が届く。


「未央子!」


驚いて、立ち止まってしまった。

立ち止まってしまったから、無視することもできない。

決まり悪そうな顔で振り向いて、さっき言ったばかりの言葉が、今度は未央子の口から落とされる。


「いきなり名前呼び捨て?」


亮はおかしそうに笑い、今度は未央子の言葉を借りる。


「はは。癖で」


未央子は肩を持ち上げて、大げさに息を吐いた。