憎しみの対象でしかなかったそれが、母のどうしようもない弱さを写したものだと思うと、憐れみのような気持ちが湧く。
ここにあるのは自分に対する母の憎悪ではなく、うまく表現できない母の精一杯のメッセージのように思えた。
「あたしが今まで苦しんで生きてきたのは、変わらないし、忘れられない」
心の傷は、簡単には消えない。
それが幼少のものであるほど、深く刻み込まれ、癒えにくい。
「でもあたし、今、自分が不幸だと思わないから」
産まれたことを、産んでくれた母を、
「今なら、感謝できると思うんだ」
未央子は強い目をして、そう言った。


