親愛なる母へ




トレードマークの金髪を、未央子は黒に染めた。

そして、ロックテイストの服までも脱ぎ捨て、清楚なブラウスに細身のパンツという出で立ちだ。

未央子を知る者なら、目を丸くするに決まっている。


「いや、変ではないけど。どういう心境の変化?」


尚も驚いた表情の亮は、未央子にヘルメットを渡してやりながら問う。


「お母さんが、あたしだってわかんなかったら嫌だから」


その言葉を聞いた時、亮がわずかに表情を強張らせた。

未央子はそれに気付き、首を傾げる。


「どうかした?」


そう問うと、亮は「別に」と言って自身のヘルメットをかぶる。


「暑いから、行こう」


何かひっかかるものを感じながらも、未央子はタンデムシートに座った。