親愛なる母へ




約束の日、亮は未央子のアパートまでバイクで迎えに来た。

久しぶりといっても、会っていないのは10日ほどだ。

それでも、未央子は自分でも驚くほど、亮と会えたことをうれしく思っている自分に気付いていた。

同時に、なぜだか照れくさくて、亮の顔をまっすぐに見られない。

どうも調子が狂う。

しかし調子が狂ったのは、亮も同じだ。


「みお、こ?」


すぐにバイクで出かけるのに、わざわざヘルメットをはずした亮は、これ以上になく目を見開いている。

視線の先には、未央子。

しかしそれは未央子であって、未央子でない、とでも言うべきか。


「やっぱ、変?」


未央子は自分の黒髪をつまむ。

そう、黒髪を。