親愛なる母へ




未央子は、ギターに手を伸ばす。

母親探しを始めた頃から作っていた曲に、今日も取りかかる。

しかし、まだ完成には遠そうだ。

これまで、何度も手直しをしていた。

曲作りは、その時の心情が大きく影響する。

意識せずとも、この曲には、母に近付くに伴い変化していった未央子の心情が、如実に表れている。

揺れ動く心が、これからどこへ向かうのか、未央子にもわからなかった。

その混乱した気持ちが、今日もメロディーに変わっていく。