桐島に礼を言うと、彼の目が一瞬悲しく揺れた。
「この後、例の病院へ?」
「ええ、もちろんです」
未央子が頷くと、桐島も覚悟を決めたような顔をした。
その表情が、未央子には、患者の情報を話してしまった罪悪感からくるものかとも思ったが、なぜだか妙に心に引っかかる。
「行くべきでは、ないですか」
行かないという選択肢はなかった。
しかし問う。
桐島はそっと微笑み、言う。
「君とは知り合ったばかりだが……。君は強い子だ。どんなことがあっても、きっと受け止められるよ」
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