親愛なる母へ




睡眠薬で眠り、徐々に食事を摂れるようになり、見た目には回復してきた頃から、カウンセリングが始まる。

なぜうつ病になったのかを考えることが治療を手助けし、また、今後の再発を予防する助けともなる。


「彼女にとって一番の苦しみは、愛する娘を傷付けてしまうということだった。うつ病の症状が改善されても、その根本を解決しなければ、この病気は何度でも繰り返す」


桐島は椅子から立ち上がり、窓の外に体を向ける。

その先に、無機質な高い建物があった。

あの上層部に、鍵のかかった精神科があるという。