親愛なる母へ




穴が開くほど未央子を見つめていた目が、やがて細められる。

にやりと口の端を上げた桐島は、


「さすが、久保さんの娘さんだね」


どこか満足げにそう言い、未央子もいたずらに笑って応えた。


「お話をしよう」


桐島が両手を広げ、あくまで物語だと前置きする。

その話の主人公は、誰より大切な自分の娘を傷付けてしまうことをやめられず、娘を手放した、悲しい女だ。