親愛なる母へ




彼は手帳を開き、病院の名前と電話番号、そして主治医の名前を未央子に見せた。

未央子はそれを丁寧に自身の手帳に写し、見つめる。


「お父さんは、お母さんを探すのをやめちゃったの?」


未央子が問うと、父は淋しそうに笑う。


「ああ。お母さんの希望を叶えてあげるのが、お父さんに残された最後の使命だと思うからね」


未央子はそこに、彼の深い愛情を見た。


「今もずっと、彼女の幸せを祈っているよ」


姿は見えなくとも、相手を想い続けるのは、簡単にできることではない。

忘れてしまえば楽なのに、彼はそのことを考えたことすらないようだ。