親愛なる母へ




「未央子なら、もしかすると聞き出せるかもしれない。未樹の主治医が、何か知っているはずだ」


当時、未樹の強い希望で、父には行方を知らされなかった。

しかし、この病気は退院したからといって、すぐに病院と疎遠になることはできない。

おそらくその後も治療が必要となる。

他の病院に移ったとしたなら、主治医が紹介状を書いていたはずだ。


「主治医の先生は、まだその病院に?」


未央子の問いに、彼は頷く。