親愛なる母へ




様々な感情が渦巻き、未央子は耐え切れず涙をこぼした。

呼吸がうまくできず、息苦しい。

苦しみを吐き出すかのように嗚咽をもらすが、救われることなどなかった。


「未央子……」


父の手が、未央子の頭に乗せられる。

その温かさに、未央子の涙がさらにあふれ出す。

本当は、母にこうしてほしかった。

これまで認めようとしなかったその欲求を、未央子は確かに感じていた。

未央子の大きな恨みは、母を求める欲望そのものだったのだ。

未央子は何よりも、強く母の愛を求めていた。

それはこの長い歳月の間、決して色あせることなく、憎しみとして姿を変え、未央子の中で確かに息づいていた。