親愛なる母へ




何を恨めば良いのだろう。

これまで母に向けていた憎しみの行き場が失われ、混乱していた。

虐待は事実で、憎むべき行為。

病気であったのも事実で、それゆえ未樹は自分の感情をコントロールしにくくなっていた、それも事実。

しかし未樹が弱かったのも、事実。

未央子はいったい、今まで何を憎んできたのだろう。

自分を虐待した母か?

それとも、虐待という行為か?

10年以上の月日が、ぐらぐらと揺れる。

未央子はいったい、何を恨んでいたのだろう。