親愛なる母へ




未央子は、胸の傷痕に触れる。


「病気だから、お母さんはあたしに手を上げていたの?全部病気が悪いの?」


それはある種、救いではあった。

憎まれて虐待をされたわけではないのであれば、未央子の心はいくらか軽くなる。

しかし、決して納得のいくものではない。

たとえ何かの病気だったとしても、うまくやっていく方法はあったはずだと、未央子は思う。

病気のせいにして、虐待を正当化するような真似は、決して許されない。


「お母さんが弱かったからじゃないの?」


憎むべきは何なのか。