親愛なる母へ




彼らの背中を射抜いていた視線をはがし、未央子は再び亮を見上げる。

涼しげな目に見下ろされると、なかなか本題に入りにくい。


「あんた、チバっていうの?」


未央子の苦し紛れの問いに、亮は訝しげな表情見せたので、慌てて付け加える。


「さっき、友達がそう呼んでた」


そう言うと亮は納得したように表情を緩めたので、続けてごく簡単に下の名前を問う。


「チバ……何?」

「亮」


未央子は千葉亮の名前を心の中で反復した後、意を決して本題に入ろうと口を開く。


「あのね、亮」