親愛なる母へ




父は当時、未樹の残して行った離婚届を、まだ役所に出していなかった。

しかし未樹は、もう二度と未央子に会わないと決めていた。

二度と傷付けないために。

愛しているからこその、悲しい決断だった。

父は離婚を受け入れるかわりに、今後、未樹の治療の手助けをしたいと申し出た。

他に頼る者のいない未樹は、それを受け入れた。

そして父の援助のもと、未樹は精神科に入院し、治療に専念することになった。