「正直に言うと、未樹が何を考えていたのか、今になってもわからない。それでも、未樹に寄り添って、一緒に解決策を考えるべきだった」 父親は、そう言ってうなだれた。 しかし、彼は悪くない、と未央子は思う。 それでは未樹が悪いのか? それも、たぶん違う。 「本人の気質もあるだろうけど、あの時から病気に侵されていたんだと思う」 “病気”という言葉が、意外なほどに、未央子の耳にはしっくりと響いた。 未樹の異常な行動を説明してくれる、希望にも思えた。