二人でソファに並んで座り、氷が溶けて少し薄くなったレモンティーを飲みながら、父は口を開く。


「未央子にとって、あの頃のことが大きな心の傷になっていることは、わかっている」


聞けば、未央子は幼い頃、大人、特に女性を怖がっていたという。

成長した今も、寝ている間うなされていることが多いことに、彼は気付いていた。


「もっと早くそうするべきだと……離婚するべきだと、お母さんは言っていたんだ」


未央子は、紅茶のグラスに伸ばしかけた手を止めた。

やはり離婚の原因は母なのか。

未央子は手を引っ込めて、父親の方に顔を向けた。