親愛なる母へ




「ちゃんと生活するっていうから、一人暮らしすることにしたんだよ!?全然できてないじゃん!」


父の荒んだ生活を目の当たりにし、未央子は声を荒げる。

普通の家庭と逆に、未央子の一人暮らしを勧めたのは父親の方で、当の未央子は随分と渋っていた。

それというのも、父の生活能力は乏しく、一人にしてしまうとまともに生活できないことが、未央子には容易に想像できたためだ。

それまでの生活は未央子が切り盛りしており、それを不憫に思った父親が、未央子を解放すべく一人暮らしを勧めたのだが、その申し出を受けたことを、未央子は今まさに、ひどく後悔しているところだ。