親愛なる母へ




未央子は腰に手を当ててリビングの真ん中に立ち、大きくため息をつく。

目の前には、ローテーブルやラグの上に散らばった書類とノートパソコン、二人掛けのソファ、そしてその上に横たわる、中年の男。

頭を巡らせば、システムキッチンにはコンビニ弁当の空容器が積まれ、栄養ドリンク空き瓶が並んでいる。


「お父さん!なんて生活してんの!」


その怒声に、ソファの上の人影は、そのままずるりとラグに落ちた。


「あれ?もう来たのか。早いな」


寝ぼけまなこをこすりながら、父親はソファに座り直す。


「もう1時!!」


時計はとっくに、約束の時間を差している。