親愛なる母へ




ふいに、亮は未央子を責めるように目を細める。


「なんで連絡してこないんだよ」


未央子はどきりとする。

中森と会ったことどころか、その前に兵頭と会った時のことも、亮にはまだ話していなかった。


「気持ちの整理つけるのに時間かかってるのかと思って待ってやってたら、いつまでも言ってこないんだもんな」


その言葉を聞いて、未央子は自分の身勝手さを改めて知る。

亮の方から聞いてこない理由を、未央子は勘違いしており、所詮は他人事だと思われているのだと考えていた。

そう思うと淋しくなり、余計に意地を張ってしまうようになった。

しかしそれは亮の気遣いだったのだ。


「ごめん……」


未央子は詫びると同時に、亮の優しさが染みて心が温かくなるのを感じた。