ぴたりと足を止めるが、すぐには振り返ることができなかった。 中森と会ったことを話していない後ろめたさが、未央子をそうさせる。 「未央子?」 前に回り込まれて、顔を覗き込まれる。 思いがけず、心臓が跳ねる。 「どうした?テストできなさ過ぎておかしくなった?」 心配そうな表情をつくるも、亮は未央子の頭をノックするように叩くので、からかわれていることをすぐに理解した未央子は、頬を膨らませる。 ようやくいつもの調子に戻ると、亮は安心したように小さく微笑んだ。