父親に連絡を取ろうと思ってはためらうことの繰り返しが、何日過ぎただろう。

未央子はぼんやりとキャンパスを歩いていた。

もうすぐ長い夏休みだ。

しかしそれを迎えるためには、大きな試練を乗り越えなくてはならない。

厄介極まりない、テスト期間だ。

今さっき受けてきた試験は、散々な出来だった。

母親探しのことは言い訳だが、勉強に集中できない日が続いている。


「はあー……」


未央子は思わずため息をこぼした。

すると、


「ずいぶん豪快なため息だね」


懐かしさすら感じる声が、未央子の頭に落ちてきた。