親愛なる母へ




亮は思わず彼女の腕を引いて立たせ、震える小さな肩を抱き寄せた。


『私が悪いの。ちゃんと愛してあげられなかった。ひどいことばかりした』


髪を繰り返し撫でてやると、彼女はやがて声を上げて泣いた。

弱虫の彼女が、長い間、そんなにも大きな悲しみを抱えていたことを思うと、亮の胸はきつく締め付けられた。


『会いたいよ……』


絞り出すされた小さな声が言ったその本音を、亮はしっかりと受け止めた。

そして彼女の頭越しに見た手紙の宛名を、頭の中にしっかりと焼き付けた。