親愛なる母へ




少し淋しく感じてしまったことを隠すようにして、亮は問う。


『子ども、いたんだね。いくつなの?』


本当は、彼女を奪い去りたいと思ったこともあった。

しかしそれを強行していいのは旦那からだけで、子どもがいるなら、それは決してできそうにない。

彼女はそんな亮の心を知ってか知らずか、そっと微笑む。


『もう、16歳になるのよ。大きくなったでしょうね』


その言い方に、亮は違和感を覚えた。

まるで、その成長を見届けることが叶わなかったように聞こえる。