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彼女に渡された古いコミック本を読み終え、亮は顔を上げる。

少女漫画など初めて読むが、思いのほか夢中になってしまい、すっかり彼女を放っておいてしまった。

しかし彼女は相変わらず机に向かっており、よく集中しているようだ。

彼女の背中を見て、亮は小さく微笑む。

そして立ち上がり、彼女の肩にそっと手を置いた。


「疲れてない?がんばり過ぎるのも良くないよ」


そう言うと、彼女は顔を上げて微笑んだ。

今日の彼女はずいぶんと上機嫌だ。

反動で明日に寝込まなければいいが、と心配しながら、亮は彼女の肩をマッサージする。


「もう少しだけ」


彼女はそう言って、再び作業に取り掛かった。