親愛なる母へ




未央子は、この母親探しの旅のスタート地点を思い出す。

まずは父親に、未樹の田舎を聞いたのだった。

しかしそれ以前に、未樹の居場所を知っているかどうかを聞いただろうか。

知るはずがないと思い込んでいた。

未央子の幼い頃の記憶では、未樹は突然いなくなり、父親もしばらく母親を探していた。

見つけることができたなら必ず連れ戻すだろうと、母が帰ってこないということは、母が見付からなかったということだと、未央子は思い込んでいた。

しかし彼らは、法の元で離婚しているのだ。

直接会うことはなくとも、何らかの方法で連絡を取り合う必要がある。

両親は、未央子の知らないところで、確かに繋がっていたのだ。

もしかすると、とんでもない遠回りをしてしまったのかもしれない。