一瞬だけ、未央子は未樹という女性に親しみを覚えた。 しかし忘れてはいけない。 彼女が自分にしたことを、思い出す。 精神的に不安定だからといって、気性が激しいからといって、それが子どもへの虐待に繋がるだろうか。 それが許されるだろうか。 「ねえ、未央子さん。長坂さんは、本当に未樹さんの行方を知らないのかしら」 考え込んでいた未央子に、ふいに中森の言葉が投げかけられる。 一瞬、意味がわからなかった。 顔を上げると、中森の真剣な目と視線が絡む。