親愛なる母へ




「それは……結構、面倒な女ですね」


未央子が呆れてため息をつくと、中森も眉を下げて苦笑する。


「たぶん、結婚してからも色々あったんじゃないかな。まぁ、ちょっと度は過ぎるけど、なぜか憎めない子だから。長坂さんも、そういうところを、愛しいと思ったんじゃないかな」


まるで小さな子どもだ。

呆れると同時に、未央子は不思議に思う。

なぜ未樹の周りの者は、そんな厄介な存在を、大切そうに語るのだろう。

兵藤しかり、中森しかり。

しかし未央子の中でも、確かに何かが変わった気がした。

なぜだか身近に感じられるのはおそらく、


「気性が激しいのは、遺伝してます」


まるで、自分を見ているように、思うからだ。