親愛なる母へ




長坂を問いただすと、中森の想像通り、確かに動揺はしたが喜んでいないわけではないと言った。

未樹はまだ学生だし、幼稚園教諭になるという夢を奪うことになってしまう。

罪悪感を抱いてしまうのは仕方なかった。

中森は、それを丁寧に未樹に話してやる。

長坂は、未樹との将来のことを真剣に考えているからこそ、単純に喜びだけを表現できなかったのだと。

未樹は、ただ長坂の気持ちを確かめたかっただけだった。

人騒がせにも、不器用な未樹らしい。

中森は未樹が今どこにいるのかを聞き出し、長坂に向かわせた。

翌日、二人が仲直りしたことを、大学で未樹に聞いた。

長坂も苦労するだろうと、中森は彼に同情したものだった。