親愛なる母へ




「未央子さんを身ごもってからの未樹、本当に幸せそうな顔をしてた。大切そうにお腹を撫でて、いつも優しく声をかけていた」


嘘だ、と未央子は心の中で叫ぶ。


「もともと子どもが好きといっても、やっぱり自分の子は別格ね。小さな未央子さんを抱いて、宝物だって言ってた」


耳をふさいでしまいたかった。

怒りに似た感情が湧き上がる。

しかしそれをぶつけるべき相手は、中森ではない。


「それが、全てですか?」


未央子の声が低く響く。