親愛なる母へ




彼女達はそろって、幼稚園教諭を目指していた。

しかしその事実が、未央子の心を大きく揺さぶる。


「未樹は私以上に、子どもが大好きだった」


耳を疑うしかできなかった。

それは嘘だ、と中森に言いたかった。

子どもが好きな人が、虐待などするものかと。

しかしその衝動をぐっと堪え、続きを聞く。

中森も未樹も幼稚園教諭の免許を取得するが、未樹だけは実際にその職につくことはなかった。

未樹と、大学在学中に出会った恋人との間に、子どもができたためだ。

その子どもが、未央子だった。

そしてその恋人というのが、近くにある四年制大学の学生だった長坂という男、つまり未央子の父親だ。