親愛なる母へ




以前は、大学駅伝を走ることを目指していた。

しかしそれは既に夢で終わっていた。

今もたまに、古傷がうずく。

亮は高校時代に遭った交通事故で足の骨と神経を傷め、その後遺症のために全力では走れなくなった。

しかしそれでも、亮は走ることをやめられなかった。

駅伝部への入部を断念したのは悔しかったが、自由気ままに走る方が性に合っているのかもしれないと、最近では思うようになっていた。