「いい香りですね。なんだか懐かしいような……」 未央子が率直な感想を述べると、中森は目を細める。 そして口にした次の言葉に、未央子の思考は一時停止した。 「これね、未樹が大好きだったの。初めて飲んだ時、未央子さんと同じことを言ってた」 その衝撃は、まるで頭を強く揺さぶられたようだった。 不意打ちだ。 こんなに早く、それにこんなに直接的に、未樹の面影が現れるなんて。 あまりに突然すぎて、視界が歪むような錯覚に陥った。