母の高校と大学時代の同級生である中森に、未央子は電話をかけた。

既に兵藤から話を聞いているということで、すぐに会う約束をすることができた。

隣町に住んでいるというから驚いたが、だからこそ兵藤は会うことを勧めてくれたのだろう。

専業主婦だというので、平日の昼間に会うことになった。

中森は自身も大学に通っていただけに、気を使って、未央子の講義のない時間を選んでくれた。

亮にはそれを告げぬまま、未央子はバスを待つ。

錆だらけのベンチには座らず、背後に生い茂った雑草をちぎっていた。

青臭い匂いが心を落ち着かせるのを期待するかのように。