親愛なる母へ




翌日。

兵藤とのやり取りを亮に全く話していないことに気付いた未央子は、グラウンドに足を運んだ。

亮はかなりの確率でここにいるのだが、しかし今日は、はずれだった。

土埃の舞う中に、人影はない。

未央子は肩を落とし、この後の講義を受けるべく踵を返した。

まだ昨日のことが引っかかっている。

自分の子どもじみた態度が嫌になる。

そして、自分が悪いとわかっていながら、素直に謝れないことも。