親愛なる母へ




一葉はため息をついて、申し訳なさそうに亮を見上げる。


「なんか、すみません。あんな子で」

「はは。どうして一葉ちゃんが謝るの」

「まあ、そうなんですけど」


未央子に押しつけられた空き瓶をもてあそぶ一葉に、亮はくつくつと笑いながら言う。


「昔から、あんな感じだったんでしょ?気性が激しくて、生意気で、」


亮の言葉に、一葉は笑みをこぼす。


「素直で、真っ直ぐで。いっつも一生懸命で、変に真面目で」

「ええ、全然変わってませんね。変わったのは髪の色くらいかな」


一葉の言葉に、亮は微笑む。

その表情を見て、一葉は言う。


「亮さん。未央子のこと、見つけてくれてありがとう」


その言葉の意味するところを理解した亮は、そっと微笑んだ。