親愛なる母へ




「どのパートやってたんですか?」


一葉は未央子を気にしながらも、場を和ませようと会話を続けるが、しかしそれは逆効果だ。


「ギターと、ベースを少し」

「そうなんですか。じゃあ小山田がいなくてもセッションできるね、未央子」

「亮となんて演んないよ!!」


そう言うと、未央子は空き瓶を一葉に押しつけて歩き出した。


「ど、どこ行くの?」

「トイレ!!」


大股で歩いて行く未央子の背中を見て、一葉と亮は顔を見合わせる。