親愛なる母へ




千葉亮は、今日も乾いたグラウンドの土を蹴る。

走っていれば、それでよかった。

ただそれだけで、満たされる。

風を感じるのは心地良いし、神経が研ぎ澄まされ、この時だけは透き通った心を持つことができる気がしていた。

大学では、マラソンサークルなるものに所属している。

気ままに集まってグラウンドや公園を走るのと、定期的に飲み会をするのが主な活動内容だ。