親愛なる母へ




「ええと、亮さん、は、音楽やらないんですか?」


一葉が遠慮がちに亮に話しかける。

ひどい人見知りだったのに、成長したものだと未央子は関心する。


「俺?昔やってたけど。ちょっとだけね」


その言葉に、未央子は眉を吊り上げる。


「は!?聞いてない!!」

「うん、言ってないし」


未央子の血が再び逆流する。

散々バンドの話をしていたのに、これではまるで隠されていたようだ。

そしてそれを、会ったばかりの一葉にはあっさりと打ち明けるなんて。