親愛なる母へ




「一葉、小山田とは連絡取れた?あたしのメール、はじかれたんだけど」


未央子は頭の中と視界から亮を追い出し、苛立ちをここにいない旧友にぶつける。


「未央子、ちゃんと新しいメアド教えなかったんでしょ」

「あ、そうかも」


未央子は舌を出す。

小山田は優秀なベーシストだが、未央子と一葉にはどうにも軽く扱われている。


「小山田、今もバンド続けてるって言ってたよ。細々と」

「細々?じゃあ暇なのかな」

「たぶん。未央子の名前出したら、懐かしそうにしてたよ。一緒に演ろうって言ったら、ちょっとうきうきしてた」

「へえ」


未央子の苛立ちはいつの間にか収まり、今度は胸を躍らせていた。

ライヴとまではいかなくとも、懐かしいメンバーでのスタジオセッションはそう遠くない日に叶いそうだ。