親愛なる母へ




「ギターの音、良かったな。エフェクター何使ってるか知ってる?」

「うーん、私はギターのことはさっぱりだからなぁ。圭さん、どっかにいないかな」


きょろきょろと辺りを見回す一葉の言葉を聞いて、未央子はようやく思い出す。

あの童顔のギタリストを、やはり未央子は知っていたのだ。


「圭って、中学の先輩の?」

「あれ?今気付いた?そうだよ、あの時からずっと一緒にやってる」


未央子と一葉が中学一年生の時、三年生が本格的なロックバンドを組んでおり、そのギタリストが、先ほどステージの上でも見た圭という男だった。

圭は中学校の文化祭で未央子達のバンド演奏を聞き、ちょうど自身のバンドからドラムが抜けるということで、一葉をスカウトしたのだ。

当時はヘルプのメンバーだったが、そのまま正式メンバーになったことを、未央子は知らなかった。