親愛なる母へ




ステージだけがスポットライトによって浮かび上がり、その上から、四人のバンドマンが激しいロックミュージックをぶつけてくる。

自身がギタリストゆえ、未央子の視線はまずギターに向かう。

レスポールに、アンプはマーシャル、足元は見えないがエフェクターは少なそうだ。

技術は抜群。

しかし顔を見ると意外にも若い。

なんとなく見覚えがある気もするが、よくいるタイプのバンドマンゆえ、それも気のせいだろう。

ふと、ギターがドラムに向き合うように移動した。

それと同時に、未央子の視線がドラムへと移る。

ずいぶんと小柄なドラマーだ。

女性だろうか、と目を凝らし、未央子は思わず声を上げた。


「……一葉!?」


しかしその声は誰にも届かず音に埋もれる。