しかし未央子は、彼を探している。 翌日もその翌日も、キャンパスを歩きながら、あの涼しげな顔をした失礼な男を探していた。 丁寧に手洗いしてマスカラと涙を落したハンカチには、上手くはないがアイロンをかけた。 しかしそれを返すのは口実に過ぎない。 未央子はある目的のために、苦労してでも彼を見つけなければならない。 そしてそれに、そう時間はかけられない。