兵藤は手を伸ばし、うつむく未央子の肩に触れる。
「ごめんなさいね。あなたを傷付けるつもりはなかったの。でも尚更、あなたは未樹の全てを知るべきだと思う」
思わぬ言葉に、未央子は顔を上げる。
「ねえ、もしよかったら、未樹の大学時代の友人にも会ってみない?」
兵藤の提案に、未央子の心は大きく揺れた。
母のことが知りたい、でも知りたくない。
知るべきか、ここでやめるべきか。
わからない。
混乱して、答えることができない。
どうしたらいい。
心の中で、問う。
誰に?
どうしたらいい?……亮。
亮ならきっと、知るべきだと言う。


