親愛なる母へ




意志の強そうな兵藤の目に見つめられ、未央子は身動きすらできなかった。

じっとりと汗がにじんでくるのがわかる。

兵藤の言うことを、未央子は簡単に信じられない、信じてはいけない。

未央子は現実に、未樹の虐待を受けていたのだ。

頭の隅で、兵藤に反論するものを必死に探す。

兵藤は、大人になってからの未樹を知らない。

それなのに、未樹の全てを信じているような目をしている。


「母は……」


声がかすれる。


「あたしに手を上げていました」


そう言うと、兵藤は目を丸くして、


「まさか」


独り言のようにつぶやいた。