親愛なる母へ




幼少よりピアノを習っていた未樹は、合唱の伴奏を任されることが多かったという。

しかし未樹はそれに嫌気がさし、伴奏を任される前に、指揮者に立候補した。

最も目立つ存在である指揮者に、おとなしい未樹が立候補したものだから、クラスメイト達は皆驚いたが、後になって事情を知った友達は、未樹らしいと笑った。

頼まれたら嫌と言えないから、最初から頼まれないように対策したのだ。

最初の頃は、おとなしい未樹の言うことを特に男子は聞かず、練習中には涙ぐみながら指揮を振っていた。

しかし決して折れることはなく、そんな未樹の姿を見て、やがてクラスは一つになっていったという。

合唱コンクールをきっかけに、それまで浮いていた未樹は、クラスに溶け込むことになる。

そうなってから、いつも楽しそうに笑っていた。